2013年2月13日水曜日

「レスリング」が2020年五輪除外候補に決まった理由

2013年2月12日IOC理事会で「レスリング」が2020年五輪除外「候補」に決まった。

なぜ、上記のような「候補」という言い方をするかというと、2013年5月IOC理事会で再度、新規1種目に選ばれ、2013年9月のIOC総会で再び2020年の五輪正式種目として選ばれる可能性があるからだ。

しかし、実際の可能性は、かなり低いと思う。

理由として、一度、除外された「レスリング」が、この3ヶ月で再度選ばれるというのは、この2月のIOC理事会の意義を完全に否定しているようなものだからである。

実は、現在、Sport Event Management and Organisation Seminar (SEMOS)という「オリンピック」をテーマにした集中講座をIOC職員とセッションしている為、今日は、一日中この話題で盛り上がった。

彼らと議論を重ねた結果、私なりの見解をまとめてみた。



IOC(国際オリンピック委員会)のマーク・アダムス広報部長は、レスリングが中核競技から外れた理由について、「人気、国際性、男女の選手の比率などを考慮して、理事会で協議した結果、最終的に投票で決まった」と記者会見で述べ、それ以上の説明をしなかった。





そうなのである。
これ以上、説明のしようがないのである。

古代オリンピックから重宝され、歴史のある「レスリング」は168ヶ国の加盟で世界的に普及しているスポーツと言える。それに比べ、国際近代5種連合は104ヶ国の加盟で実際に国際大会に参加しているのは60数ヶ国でしかない・・・・・

人気・国際性の観点から言えば、つじつまが合わないのである。

では、この決定をどう捉えるのか??

まず、重要なのは、どういうプロセスで「レスリング」が2020年五輪除外候補に決まったかということだ。

聞いた所によると、除外候補は、全部で5種目あったようだ。

レスリング、近代5種、テコンドー、カヌー、ホッケー・・・・

IOC理事会メンバーの計4度による投票で、最終的にレスリングと近代5種の決選投票になり、レスリングが敗れた訳である。

次に、考えなければいけないのは、誰が投票権を持っていたかである。

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投票によってレスリングの除外を決めた国際オリンピック委員会(IOC)の14人の理事の氏名、国、出身競技(その競技をやっていない場合もあります)は下記の通り。

【会長】
Jacques Rogge(ベルギー=ヨット)=投票せず
【副会長】
Ser Miang Ng(シンガポール=ヨット)
Thomas Bach(ドイツ=フェンシング)
Nawal El Moutawakel(モロッコ=陸上)
Craig Reedie(英国=バドミントン)
【理事】
John Coates(オーストラリア=ボート)
Sam Ramsamy(南アフリカ=水泳)
Gunilla Lindberg(スウェーデン=ボブスレー&リュージュ)
Ching-Kuo Wu(台湾=バスケットボール)
René Fasel(スイス=アイスホッケー)
Patrick Joseph Hickey(アイルランド=柔道)
Claudia Bokel(ドイツ=フェンシング)
Juan Antonio Samaranch Jr(スペイン=近代五種)
Sergey Bubka(ウクライナ=陸上)
Willi Kaltschmitt Luján(グアテマラ=ボクシング)
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これを見た瞬間、クラスメイト共々なるほどなと感じた。。
それと同時に、改めて2020年東京のライバル「マドリード」のロビー活動の強さを感じた。

理由として、決定の背景でIOC理事である「サマランチJr」(あのIOC会長を1980年~2001年(21年間)務めたサマランチ元会長の息子である)の力が大きかったと言われているからだ。彼は、国際近代五種連合で主席副会長を務めていて、「自身の種目」を守るのに尽力をつくしたと推測される。

投票したのが彼らだけにあって、これ以上の説明が見つからないという形で議論は終了。

最後に、これは2020年招致活動の影響がどうかというのが主なポイントではなくて(レスリングが無くなるのが痛いのはトルコも同じである)、ヨーロッパのIOC委員が60%を占める現状で「レスリング」がヨーロッパ主導ではない事、それに加え、最終決戦が「サマランチJr」の種目「近代5種」であった事、「近代5種」をどうやったら五輪種目として残せるかがポイントとなったと見られている。

いくら経済状況が悪いからとは言え、「スペイン・マドリード」は強敵に変わりはないのである。
その「ロビー活動の強さ」を示しているのが、今回の出来事であるというのは言うまでもないだろう。